
姫ヶ淵・・・大出地区に伝わる少し悲しい伝説です
ホテルから程近い、お散歩にもオススメのスポット、大出が舞台のお話です。
写真スポットとしても知られる大出吊橋のすぐ上流が姫ヶ淵・・・
この姫ヶ淵を地元では姫淵と呼び、特に紅葉の頃美しい景色を見せてくれます。
大昔のこと、越中に奴奈川姫(ぬながわひめ)という大そう美しい首長の娘がおりました。
姫は首長としての印である、ヒスイの勾玉でつくった首飾りをしていました。
勾玉は信濃の国から流れてくる沼河(ぬまがわ)の深い川底から少ししかとれないヒスイと言う石をよく磨いた美しい緑色の玉です。
そのころ、遠い遠い出雲の国に「越中にはとても美しい姫がいて、その美しさは身につけているヒスイの勾玉の美しさと競うかのようだと越中の人は言っているとか」
という噂が伝わってきました。
出雲の首長、大国主命(おおくにぬしのみこと)は「その姫をぜひ妻にしたいものだ」と大勢の家来を従え、越中へやってきました。
紅葉もそれは美しい

大国主命の熱い想いに応え、奴奈川姫は妻になる決心をしました。
そして二人の間に玉のような男の子が産まれ、建御名方命(たけみなかたのみこと)と名づけました。
また大国主命はヒスイを磨いて勾玉の作り方を覚えました。その他にも米の作り方や薬草なども勉強しました。
しばらく時が経ち一家は出雲へ戻ることになりました。よその国からきた姫には慣れない事が多く
『越中へ帰りたい』とだんだんふるさとを恋しく想うようになってしまいました。
そうして大国主命が戦に出ている間に奴奈川姫は出雲の国を抜け出してしまいました。
姫はやっとの思いで故郷にたどり着きますが、すぐに追っ手に追いつかれてしまいます。
そのまま休むことも出来ずに姫は信濃の国へ向かって逃げました。

どれくらい逃げたでしょうか、いくつもの険しい山道を越えたところで大きな川のふちにたどり着きました。
水はごうごうと流れ岩にぶつかっては大きな渦となりじっと見ていると濃い緑色に吸い込まれてしまいそうです。
「この色はヒスイと同じ色だこと・・・。」
そう思うと姫は岩に腰かけ、辺りを見回しました。
川の向こうには真っ白に雪をかぶった高い山々が壁のように連なり、歩いて越えられそうにありません。
その様子を見ると姫は
「私はこれ以上逃げられそうにありません。捕まって出雲へ戻されるならこの川に身を沈めます。」
そう言って姫は足元の渦の中に吸い込まれるようにして沈んで行き、それきり浮かび上がってはきませんでした。
それ以後、沼河と呼ばれていたこの川は奴奈川姫入水の話し以降「姫川」と呼ばれるようになりました。
また、大出にある姫ヶ淵と呼ばれているところは今でも濃い緑色をした水が渦を巻いて流れています。
注)奴奈川姫が信濃に逃げる際に通った山として、善光寺平を見おろす山を黒姫山と名づけられたと言う説もあります。
その他、志賀高原にも似たような黒姫様の伝説が残っています。
建御名方命は諏訪大社に祀られている神様です。

